「それでは、次は学級会、お願いします」
ディレクターの声に、教室が少しざわめいた。そして、男女のクラスメイトが一人ずつ、教室の前へとやって来る。そんな二人が、クラスの学級委員であり、これからおこなわれる学級会の司会を担うことは、理子にもわかっていた。
二人は、ディレクターとレポーターの女性と話をしている。おそらくは「演出」の最終打ち合わせなのだろうが、それは自分に対しても同じ。別のスタッフに促されるまま、理子は教卓の上へと腰掛けた。だが、それだけではない。狭い教卓から落ちないよう気をつけながら、そのうえで体育座りをすると、さらには両脚を大きく開いた。つまりは、クラスメイトたちに向かって、M字開脚をしたことになる。
普段であれば、理子の割れ目は小陰唇のはみ出しもない。巨大ともいえるクリトリスの存在感に比べれば、それは年齢相応のたたずまいともいえた。だが、ここまで大きく脚を開けば、そんな未成熟な割れ目でも、左右へと開かれ、その奥底を覗かせることとなった。
クラス全体を撮影するカメラマンと、理子と学級委員たちを撮るカメラマンにわかれ、おのおのが位置についたことを確認したディレクターは、ふたたび声を上げた。
「それでは、学級会の撮影をはじめます。学級委員さん、よろしくお願いします。用意、スタート!」
カメラを向けられた学級委員たちは、明らかな緊張を見せていた。そんな二人は、普段以上に高そうな服を着ている。見るものが見れば、それが子供向けのブランド品だということはわかっただろう。そうでなくとも、近所のスーパーやファッションセンターで買ったものではないことは、なんとなくわかる。それは、自分の子供がテレビに出ると聞き、わざわざ購入したものだったのだが、それも親心として、あるいは見栄として、当然のことだったのかもしれない。
だが、二人の格好を横目に見ながら、理子は不意に、悲しさがこみあげてきた。二人はこんなにもきれいに着飾っているのに、自分は服を着ることもゆるされず、全裸で過ごさなければならない……。もう慣れた、と思っていた。しかし、それでもやはり、涙が出そうになる。
ところが、理子の気持ちになど、もちろん気づかないのだろう。男子の学級委員が口を開いた。
「これから、学級会をはじめます」
そして、女子の学級委員が続く。
「今日は、久利戸さんのワレメちゃんの毛をどうするか、それをみんなで決めたいと思います」
ワレメちゃんの毛……、つまりは陰毛が芽生えはじめたことに、理子自身は気づいていなかった。だが、数日前、タンポンを取り替えてくれた男子の日直に指摘されたのだ。そして、そのことは、またたく間にクラス中、いや、学校中へと知れ渡った。
「みなさんの席からではわからないかも知れませんが、久利戸さんのワレメちゃんの上側に、うっすらと産毛のようなものが生えはじめています」
そう言った男子学級委員は、女子学級委員とともに、理子のかたわらへとやってくる。そして、彼女がM字開脚している教卓を、ふたりして左右から挟み込むようにして立った。
「ほんのかすかに……、目では見えにくいですが、たしかにお毛々が生えています」
そう言った女子学級委員は、自らの手を伸ばすと、理子のその部分を軽く撫でた。そしてその様子を、カメラがアップで捉える。
「この毛をどうするか……、意見のある人は、手を上げてください」
その途端、「はい」という言葉とともに、あちらこちらで手が上がる。そして、児童たちによっておこなわれる活発な議論を、カメラが収めていく。
ある女子児童は、健やかに成長している当然の証しなのだから、このまま残すべきだと意見を述べた。それに対して、別の男子児童は、汚らしく見えるから、なくすべきだと主張した。そしてその後は、この二つの意見を中心に、話し合いがおこなわれることとなる。
だが、その状況を尻目に、理子のそばにいたカメラマンは、大きくM字開脚をした彼女のことを、股の間からあおぎ見るかたちで撮影している。そうすることによって、萌え出た柔毛、驚異的な大きさを見せるクリトリスとそこに付けられた「全裸教育児証明書」、乳首の名札と安全ピン、さらには少女の表情までもが、一度に撮影できるからだ。
そんなカメラのレンズを見つめながら、クラスメイトたちの議論を聞いていた理子は、自らの肉体が、未だかつてないほどに火照っていることに、気づきはじめていた。
「それでは、久利戸さんのワレメちゃんの毛は残した方がいいと思う人、手を上げてください」
女子学級委員の問いに、幾人かが手を上げた。だがそれは、非常にまばらで、かぞえるまでもなく、過半数は超えていないことがわかる。であるならば、もう決まったようなものなのだが、それでももう一方の問いもおこなったのは、公平を期すためだったのか、それともそこまで気づかなかったためなのか。
「それでは、久利戸さんのワレメちゃんの毛はなくした方がいいと思う人、手を上げてください」
男子学級委員がそう言った瞬間、賛同者の手が上げられた。そして、それはひと目で勝利を確信させるだけの数。
さすがに、そのことは女子学級委員にもわかったのだろう。そのまま宣言をした。
「多数決の結果、久利戸さんのワレメちゃんの毛は、なくすことに決まりました」
教室のあちらこちらから、拍手が起こった。民主的に、児童たちの自主性によって、一つのことが決められた様子を、カメラが追っている。だが、そこには、本来当事者である理子の意志は、存在しない。そして、それはいつものこと。それに、クラスのみんなが自分のために時間を割いて決めてくれたことに、従わないという選択肢はなかった。
その後、具体的にどうやって理子の恥毛を除去するのか、その方法が話し合われた。だが、家で彼女自身が剃毛するということは、最初から想定されていなかった。教室で、日直の手によって執り行われるということは大前提として、その方法のみが議論されたのだ。
剃刀は、子供である自分たちには危なすぎる。ハサミは、根元まできれいに刈り取れない……。いくつかの意見の中で、最終的に決まったのは、毛抜きを使って抜き取るという方法だった。
「それでは、試しに、この場で久利戸さんのワレメちゃんの毛を、抜いてみたいと思います」
あたかもこの結果がわかっていたかのように、用意周到に準備されていた毛抜きを手にした二人の学級委員は、そう宣言した。そして、理子の和毛を抜きはじめる。
最初それは、強い抵抗を見せていた。だが、それにも負けずに引っ張ると、毛根を中心とした皮膚が円錐状となる。
「い、いたっ! やっ!」
それに伴って発せられた理子の悲鳴。だが、学級委員の二人は、その行為をやめようとはしない。
「もっと強く引っ張らないと、ダメかな?」
「抜くんだから、力いっぱいでいいんじゃない?」
そう話しながら、渾身の力を込めた二人だったが……。
「あひぃ、いぃっ……」
その瞬間、芽生えたばかりのわずかな毛のうち、二本が除去されることとなった。そして、理子の口から、何とも形容しがたい言葉が発せられる。それは、涙が出そうな程の激痛によるものだった。
いくら学級会で決まったからといって、こんなことは到底我慢できない。どうして、激痛を伴いながら、クラスメイトに毛を抜かれなければいけないのか。それも、テレビカメラで撮られながら……。それは、理子の理性的な部分としては、本心に違いなかった。だが、その一方で、自分の身体がますます熱を帯び、乳首やクリトリスがこれまで以上に硬くなり、愛液がかつてないほどにあふれ出ている感覚をも抱いていた。
「ふぅん、はぁ……」
いつの間にか、鼻にかかったような声を出している理子。だが、クラスメイトの変化など気にするでもなく、学級委員たちはさらに毛抜きを繰り返す。
「うぅん♡ んっ……、はぁ♡」
理子の発する声は、いつしかはっきりと変化を遂げていた。誰が聞いても、それは喘ぎ声に他ならなかっただろう。さらには、どこか昂揚したような、興奮したような表情までしている。見られながらの痛みが、性的興奮へと転化する。そんな、未知の快楽へと、理子は落ち込んでしまったのだ。
学級委員の二人が毛抜きを使った回数は、合計で二桁に届かなかった。だがそれだけで、理子のその部分は、一週間前の状態へと戻っていた。
「あっ、久利戸さん、おツユがもれちゃってる」
そう言ったのは、女子の学級委員だった。タンポンに吸収しきれなくなった粘液が、教卓上に広がりはじめていたためだ。
「ホントだ。まだ、休み時間に取り替えてから三十分ぐらいしかたってないのに、もう、吸いきれなくなっちゃったんだ」
そう言いながら男子学級委員は、理子の大陰唇に両手をかけると、さらに大きく開いた。そして、女子の学級委員が、タンポンの紐をつかむと、一気に引き抜く。
「もう、ぐしょぐしょ。ねぇ、今日の日直。新しいタンポン持ってきて」
その一部始終をカメラに撮られながら、理子の理性は崩壊寸前だった。そして、妨げをなくした膣口から、止めどもなく秘蜜を出し続ける彼女の表情は、いわゆるアヘ顔に他ならなかった。
そんな、すっかりと呆けてしまった理子の表情、そして開けっぴろげにされた割れ目を、二台のカメラが撮り続ける。クラスメイトたちよりも一足先に、大人の階段を駆け登っていく少女の成長具合を、全国の、いや、全世界の視聴者へと送り届けるために……。
(了)
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