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第十一話 お兄ちゃん、大好き!

「瑠美や……」

 不意に発せられた老人の言葉に、私の手が止まりました。

「今日も……、じゃな?」

 老人は、いつの間にか湯船へとつかっていましたが、私はそのことにはまったく気づいていませんでした。それぐらい夢中で、おまじない……、いえ、言葉を飾っても仕方ないでしょう。少女の胸を揉みしだいていたのです。

 あたりを静寂が包んでいましたが、少女はなにも答えませんでした。その一方で、彼女の動きがよりはっきりとしたものへと変わっているように思えました。それは、私の胸いじりのためだと思っていたのですが、そうではなかったのでしょうか……。

「言うことがあるじゃろうて。のぉ、瑠美や?」

 老人は、そう孫娘を促しましたが、それでもやはり黙ったままです。

「湯の中で、するでないぞ……。それは、わかっておるの?」

 その言葉に、少女は俯いたまま、それでも小さく頷きました。相変わらず、内股をこすりあわせ、割れ目のあたりを両手で軽く押さえつつ、どこかモジモジとした様子を見せたままです。

 そんな少女を見つめながら、さすがの私も、なにが起きているのか、気づいていました。

「どうしたのじゃ。いつもみたいに、きちんと言うてから、してしまえばよかろうに……」

 その老人の言葉が、最後の一押しになったのでしょうか。少女は顔を上げましたが、その表情を見て、私はハッとしました。目にうっすらと涙を浮かべていたからです。

「和人お兄ちゃん……」

 そこまで言った少女でしたが、それでも躊躇している様が、ありありとわかりました。

「瑠美ね……」

「う、うん?」

「あのね……、瑠美ね……」

「うん?」

「おしっこ……」

 その答えは、私の想像していたものと同じでした。少女がソレを我慢しているのだということは、推測ができていたからです。

「あ、あぁ……。おし……トイレ、行きたいんだね……?」

 あまり直接的に、その単語を少女に突きつけることに、どこか二の足を踏んだのでしょう。少し言葉を換えた私の問いに、少女はコクリと頷きました。

「いつものことじゃて……」

 私たちのやりとりを、悠然とした様子で見ていた老人が、再び話し始めました。

「瑠美は風呂に入ると、いつもションベンをしたがってのぉ。どうしたものなんじゃろうか……」

 そこまで言った彼は、やれやれといった感じで表情を見せると、続けたのです。

「いつもいつも、風呂の前にションベンするように言うておるのじゃが……」

「る、瑠美……、お風呂の前に、おしっこしたもん……」

 その後に、「少しおちびりしちゃったけど……」と続けた少女でしたが、その声は小さすぎて、老人にまでは届かなかったでしょう。いずれにせよ、それは必死の反論でしたが、やはり老人の心には響かないようでした。

「それもそれで、問題じゃて……。要するに、まだ一時間も経っておらんということではないか。ほんに瑠美は、どうしてこうも、おシモが弱いかのぉ……」

 そんな祖父の言葉に、少女は再び黙り込んでしまいました。

 ですが、彼女の尿意はいよいよ高まりを見せていることは、明らかなようでした。そしてそれは、当然のように、老人にもわかったのでしょう。

「ほれ、瑠美や。漏らすでないぞ」

 そして、続けてこう言ったのです。

「それに、まじないの手を止めてくれたんじゃぞ。和人くんにちゃんと言うて、さっさと済ませてしまわんかい……」

 その言葉が、ダメ押しとなったのでしょうか。それとも、もはやのっぴきならない、そんな状況のせいだったのかもしれません。少女は小さく呟きました。

「か、和人お兄ちゃん……、おまじないしてくれている途中ですが……、る、瑠美……、おしっこしても、いいですか?」

 私に抱っこされたまま、顔だけ振り返らせた少女は、私のことを見上げながらそう尋ねました。

「も、もちろんだよ、瑠美ちゃん……」

 そんな私の言葉を確実に聞いたはずですが、それでも少女は動かなかったのです。

「和人くんや、瑠美のことを離してやってくれんか……。せっかく抱っこしてくれとるのに、悪いんじゃがのぉ……」

 老人のその言葉に、状況を思い出した私は、慌てて彼女を解放したのです。

 少女は、ゆっくりとした動きで、湯船から出て行きました。あまり急な動きを見せると大惨事を迎える……、そんなことを予感させるような動きだったのです。

「トイレなら、たしか脱衣場に……」

 少女のことを目で追いながら、そう告げた私でしたが、その言葉は老人に遮られてしまいました。

「儂らしかおらんくて、ちょうどよかったわい……、わざわざ便所まで行かんで済んだからのぉ」

 そして一拍おくと、こう続けたのです。

「家の風呂とちごうて、場所が広いけぇ……。どこでも、瑠美の好きなところですればよかろうて」

 その言葉に、少女は頬を朱に染めながらも、はっきりと頷いたのです。

 私と老人が見守る中、彼女はある場所へと歩みを進めていきました。そして、その場所に達すると、その上へと登ったのです。

 それは、あの岩でした。湯船につかる前、少女が登って外を眺めていた、あの岩です。ですが、その時とは逆に、今は内側、つまり浴場側に向く形で立っていたのです。

 なにが起きようとしているのか、私は皆目見当がつかない……ということは、ありませんでした。少女の置かれた状況と、今までの流れから、少女が執り行おうとしていることは明らかなようでした。

「和人くんや。もっと近くで、見守ってやってくれんか……」

 そんな老人の言葉に、私は半ば無意識のうちに、移動を始めていました。そして、少女に至近の場所まで移動すると、腰を据えてしまったのです。そこは、湯船の中に隠れるようにして小さく平たい岩があり、腰をかけるのにちょうどよかったからです。

 そんな私の動きを、少女は待っていたかのようです。私のことを見つめながら、岩の上へとしゃがみ込んでいったのです。そうすると、その位置関係から、大きく開かれた両脚の間にある彼女の割れ目が、私の真正面に見て取れることがわかりました。

「和人お兄ちゃん……、瑠美、おしっこします……」

 そう宣言した彼女は、軽く身震いをすると、とうとうソレを解放したのです。

 少女のアソコからほとばしり出る液体を、私は固唾をのんで見守っていました。女の子がおしっこをする姿を見るのは、もちろん初めてでした。

「ほんのちょっと前までは、儂が抱えて、させておったんじゃがのぉ。さすがにここまで大きゅうなると、それも無理じゃて……」

 老人の言葉に、少女の頬がより一層赤みを増したように感じたのは、気のせいではなかったと思います。

 そんな様子を見つめながら、少女は恥ずかしいのだということに、私は今更のように気づいていました。もちろん、それはある意味、当然ともいえることだったのですが、私に新鮮な驚きをも与えていました。なにしろ、今まで行われた数々の行為に対して、彼女は一向に羞恥心を抱いていないかのように振る舞っていたのですから……。

 ですが、そんなことを考える間も、少女の体内からは、とめどもなく尿が放出され続けていました。そしてそれは、先ほどよりもさらに傾きを増した夕日を浴びて、キラキラときらめいていたため、どこか幻想的にすら感じていたのです。本来であれば汚らしい行為だったにもかかわらず、私はまったく嫌悪感を抱いていませんでした。その光景を目に焼き付けるかのように、食い入るように見つめてしまったのです。

 そんな、いつまでも続くかのように思われた彼女の放尿でしたが、もちろんそんなことはなかったのです。やがて勢いを失っていき、ついには止まってしまいました。それと共に、少女は腰を今まで以上に大きく振ると、残った滴をふるい落としたのです。

 まるで時が止まったかのような、そんな静寂の中で、少女は立ち上がると、湯船へと再び戻ってきました。その際、自らの股間を洗い流すこともせず、そのままだったのですが、老人もなにも言いませんでしたし、私もなにも言えなかったのです。

 湯船に入った少女は、どこかおずおずとした感じで、私に近づいてきました。先ほどまでの、あっけらかんとしたしぐさとは対照的に、どこか怯えたように思えたのです。

 それでも、なんとか私の傍らへとやって来た彼女でしたが、しばらくは黙ったままでした。そして、私も声をかけることができませんでした。

 重い沈黙の中、それでも先に声を発したのは、少女の方でした。

「和人お兄ちゃん……」

 なにかを探るような、そんな口調でした。

「な、なに、瑠美ちゃん……?」

「お風呂で、おしっこしちゃうような女の子……」

 そこまで言った少女は、ためらっているのだということがわかりました。ですが、意を決したのでしょう、こう続けたのです。

「和人お兄ちゃんは……、キライ?」

 どこか怯えたような、そんな口調でしたが、それは自らも恥ずかしいことだと思っている行為を私に見られ、嫌われてしまうのではないかと思ったためだったようです。

「そ、そんなことないよ。もちろん、嫌いになったりしないよ」

 もちろん私は、そんな彼女の考えを、はっきりと打ち消しました。きっぱりとそう断言する、そんな私の言葉を聞いた少女は、表情を一変させました。憂慮の表情はすっかりと消え去り、嬉しい気持ちが溢れんばかりに感じられたのです。

「ありがとう、和人お兄ちゃん……」

 そんな彼女は、うっすらと目に涙を浮かべていましたが、それは先ほどのものとは違うものだったのでしょう。緊張の糸が途切れ、思わず出たものに違いありません。そして、感極まったように、こう言ったのです。

「和人お兄ちゃん、大好き!」

 そして、なんの前触れもなく、正面から抱きついてきたのです。湯の中で、浮力が彼女を助けたのでしょう。それは、少女にとっても、さして困難なことではなかったようです。

 彼女は、岩へと腰掛けている私に飛びつくと、両脚を私の腰へとまわしてきました。それと共に、両腕を私の背中へとまわしたのです。そしてそのまま、胸からお腹、そして割れ目にかけてを密着させてきました。

 それは、四十八手でいうところの「抱き地蔵」、最近の用語でいうところの「だいしゅきホールド」と同じ体位でした。とはいえ、実際の挿入を伴ったわけではありません。その代わりに、私の硬さを帯びた逸物が、少女の縦筋に合わさるような形で密着してしまうこととなったのですが……。

「る、瑠美ちゃん……、待って……」

 急速に高まっていく劣情に、私はなんとか彼女を押しとどめようとしました。それはもちろん、少女のことが嫌いだったからではありません。このままでは、私のモノが再び爆発してしまうと思ったからです。

 しかし、少女は耳を貸しませんでした。それどころか、自らの割れ目を、さらに強く私の逸物へと押し当ててきたのです。それは感情の昂ぶりのため、より一層強く抱き締めた結果に過ぎなかった、と私は思ったのですが……、果たしてどうだったのでしょうか。

「瑠美、和人お兄ちゃんに嫌われちゃうと思ったの……」

「も、もちろん、そんなわけないじゃないか……」

 私はそう答えながらも、必死にこらえていました。こんなところで、再び醜態をさらしたくなかったのです。

 ですが、そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼女は信じがたい行動を始めました。自らの腰を上下に動かし始めたのです。それでも最初は、ほんの微かな動きに過ぎませんでした。気のせいかと思うぐらいのものだったのですが、やがてそれは、あからさまな動きへと変わっていきました。

 つまりは、少女は自らの割れ目に、私の硬直したペニスをあてがったまま、上下に動かしていたのですが、それはつまり、私の逸物を使った「角オナ」と同じだったのです。

 そんな動きに、私は当然のように困惑していました。ですが、それを止めることもできなかったのです。なにしろ、自らも性的興奮に、すっかりと溺れてしまっていたのですから……。

 それは、突然やって来ました。不意に少女は、その身体を大きく痙攣させたのです。それがなにを意味していたのか……、説明するまでもないでしょう。

 ですが、私もまた、限界でした。そして、恥も外聞もなく、淫欲のすべてを放ってしまおうと思った、まさにその時だったのです。

「なんじゃ……、瑠美も和人くんも、顔が真っ赤ではないか……」

 老人のその言葉に、最終局面を迎えていた私の昂ぶりは、一気に冷や水を浴びせられてしまったようです。それと同時に、私をきつく抱き締めていた少女もまた、その両手両脚から力を抜いたのです。

「二人とも、のぼせてしもうたかのぉ……」

 どこまでわかっていたのでしょうか。というよりも、当然のように、この状況が意味するところを、わかっていたはずです。それにもかかわらず、そんなことはまったくおくびにも出さず、老人はそう告げてきたのです。

「は、はい……、お爺ちゃま……。瑠美、ちょっとぼうっとしてきちゃったみたいです……」

 ですが、少女もまた、自らの痴態などなかったかのように、そう答えたのです。

「和人くんや……」

「は、はいっ……!」

 名指しで呼ばれた私は、慌ててそう答えました。先ほどまでの劣情はすっかりと影を潜め、もはや暴発の危険は去ったのだということを感じながらです。

「せっかくの温泉なのに悪いんじゃが、瑠美のことを、脱衣場で少し休ませてやってくれんか……」

「は、はぁ……」

「儂の金を使うてかまわんからのぉ、なにか冷たいものでも飲ませてやってくれんか」

 そんな祖父の言葉に、少女が嬉しそうな声を上げました。

「やったぁ。ねぇねぇ、和人お兄ちゃん、はやく行こう……」

 その様子は、すっかりと女子小学生のそれへと戻っていました。そしてそれは、あのような淫靡な行いのことなど、片鱗も感じさせなかったのです。

「儂は、もうしばらく入っていくからのぉ……」

 その言葉を背に、少女に手を引かれた私は、既に内風呂へのサッシをくぐろうとしていました。ぐいぐいと引っ張っていく彼女のせいで、自分のタオルを手にする暇もなかったのですが、もはや抗うことなどできそうにありませんでした。

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