「ねえ、はづきちゃん?」
「なぁに、智美お姉ちゃん?」
「お姉ちゃん、なんだか暑くなっちゃった……」
落ち着きを取り戻しつつあったものの、それでも、体を満たすほてりに包まれていた智美だったが、それは太陽光によるものとは言いきれなかっただろう。
「ねぇ、はづきちゃん……」
そんな呼びかけに、はづきは不思議そうに眺める。
「裸んぼに……、なっちゃおうか?」
どこか、イタズラっぽい感じでそう言う智美に対して、はづきは声を上げた。
「えぇっ?」
「だって、こんなにいいお天気なのよ? それに、パンツぐしょぐしょで、気持ち悪いんだもん。だから、ねっ? パンツ、脱いじゃいましょうよ」
「でもぉ……」
たしかに、智美の言うとおり。はづきとしても、水を吸い込んだパンツそのものは気持ちが悪い。しかし、そうは言っても……。
「でも、ママが、パンツは脱いじゃいけません、って、言ってたから……」
どこか申し訳なさそうに、そうつぶやいたはづきだったが、智美はそれ以上の無理強いはしなかった。
「そう……。それじゃ、しかたないわね……。保護者がそう言ったんじゃね」
「ほごしゃ?」
「一緒に来ている大人の人のことよ。だから、はづきちゃんの場合は、はづきちゃんのママってことね。そして、お姉ちゃんの場合は、『お兄ちゃん』になるの」
「お兄ちゃん?」
「うん。『お兄ちゃん』と一緒に来てるから……」
そこまで言って、一度口をつぐんだ智美。だが、すぐに言葉を続けた。
「はづきちゃんは、保護者……、はづきちゃんのママね……、に言われたんだから、しかたないわよね。でも、お姉ちゃんは、『お兄ちゃん』にダメって言われてないから……」
そしてやにわに、行動に移す。そして、それを見たはづきは、少し叫ぶようにこう言った。
「お姉ちゃん、ダメぇー。お外でそんなところ見せちゃいけませんって、ママ、言ってたもん」
「でも、『お兄ちゃん』は、言ってなかったもん」
不意に吹き抜けた風を直接感じ、智美は体が冷やされるかのような思いだった。だが、それに負けないように、体内のほてりもいっそう強くなることを感じていた。
初出:pixiv(https://www.pixiv.net/artworks/96467825) 2022/2/23
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