このCGを元にしてでっち上げた小説……というか、長めのキャプションがあります。
「ちょっと、桃井さん、聞いてるの?」
「もう、みっちゃんてば、うるさいなぁ。ちゃんと聞いてるよぉ」
腕を組み、どこか険しい表情の少女。そんな彼女に対して、桃井さんと呼ばれた少女は、かろうじて返事はしたものの、すぐにそっぽを向いてしまう。
そんな態度に、みっちゃんと呼ばれた少女は、さらに声を荒らげた。
「どうしてこんなことに……。これは、大問題ですよ。学級委員として、とても見逃せません」
「なにが、大問題なのよぉ。さくら、なにも悪いことしてないもん」
「よくも、ぬけぬけと、そんなことが……」
「じゃあさぁ、どこが悪いのよぉ。ねぇ、言ってみてよ」
「どこがって……、そんな格好して、いいわけないでしょ?」
そこまで聞いて、どこかうそぶくような態度を示していた少女が、こう反論した。
「えー、さくら、ちゃんと決まりどおりの格好してるよぉ。ちゃんとリボンもつけてるし、上履きだって、ソックスだって履いてるし……。ニーハイでも、別に問題ないよねぇ?」
「でも、そんな色……」
「色の決まりなんて、ないじゃん」
そう言い切ったさくらに対して、学級委員は、言葉が詰まってしまう。
「髪の色だって、ヘアアクセだって、そうだよね? それに、ゼッケンのタトゥーシールだって、別に、これじゃいけないなんて決まりないじゃん?」
たしかに、さくらの言うとおり。だが、学校側としても、こんなエキセントリックな色にするような生徒が、よもや現れるとは思ってもいなかったのだろう。そのためもあってか、確かに細かく規定がされていたわけではなかったのだ。
そんなさくらの指摘に、返答に窮していた学級委員の少女。だが、すぐにあることに気づいた。
「……じゃ、じゃあ、その汚らわしいモノはなに? 乙女のたしなみとして、脱毛しなければならないことは、校則にも書かれているわよね?」
「あ、そっかぁ。せっかくきれいに染めたのになぁ……。でも、決まりじゃ、しょうがないかぁ……」
聖裸女学院中学校。そこに通う少女たちは、その美しい裸体をさらしながら、日々の生活を送っている。
この学校では、学問などは二の次であった。実際には、全国から集められた訳ありの少女たちを、「殿方」にお披露目する場であり、彼女たちが大きなゼッケン状のタトゥーシールを貼っているのも、容易に「指名」できるようにするためだった。
なお、結果から言うと、今回の出来事は、問題にはならなかった。他とは違う個性的な格好、そして、それを押し通した強い性格。とりわけ、華やかに染め上げられた柔毛に魅せられた殿方がいたためだ。
伝統的に、清楚で淑やかな少女が好まれると考えていた学校側に、この一件は多いな衝撃を与えた。
画一的ではなく、数々の選択肢を用意した方が、より多くの「殿方」の「需要」に応えることができる。そのことを再認識した学校によって、一定数の生徒に対し、染髪やアンダーヘアが解禁されることとなったのだが……、それはまた別のお話である。
初出:pixiv(https://www.pixiv.net/artworks/98127053) 2022/5/5
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